桃のネクター。子供の頃、初めて飲んだ時に衝撃を受けました。
桃の缶詰をすりつぶして、いえ、缶詰の桃をすりつぶして、丸ごと飲んでる感じ。「禁断の果実」ってのはきっとこんな味なんじゃなかろうか?
‥‥禁断の果実って、たぶんリンゴ味なんじゃね?
じゃー、「桃源郷的な味」とうことで。甘い甘い、誘惑の味。
最近、あまり見かけなくなったネクター。たまに自販機などで発見すると、嬉しさ半分懐かしさ半分でつい買ってしまいます。
というわけで、誰にも頼まれてないけどネクターについて調べてみました。
ネクターの語源
ネクターという商品名は、ギリシア神話に出てくる「ネクタル」(ネクタール)が元になっています。
ネクタルは、ギリシアの神々が常食する生命の酒。赤くて、飲むと不老不死になるお酒です。‥‥なんかすごいですね。でも、ジュースのネクターも名前負けしていないと思います。
なお、同じくネクタルに由来する名称としては、「ネクタリン」があります。
ネクタリンは桃の一種で、皮がリンゴみたいにつるつるしてるのが特徴です(画像検索)。長野県に行くとリンゴと並べて売ってたりしますよね。
コトバンクの「ネクタリン」によりますと、ケナシモモ、ズバイモモ、アブラモモ、ツバキモモといった和名もあるのですが、現在栽培されているのは明治時代に欧米から輸入された品種が元になっているので、ネクタリンと呼ばれるのだそうです。
ネクターの歴史
Wikipediaのネクターのページを時系列順に要約しますと、
- 1933年(昭和8年)頃
森永製菓が「天然果汁クラッシュジュース」を販売
- 1960年(昭和35年)
森永製菓が「ネクター」の商標を出願
- 1961年(昭和36年)
明治製菓が「ピーチネクター」を発売(日本での最初の「ネクター」)
- 1964年(昭和41年)
という感じになります。
明治製菓のピーチネクターは、桃缶に使った果肉の切れ端をピューレにして味を調整したものだったとか。やはり桃の缶詰と関係があったわけですね。「もものかんづめ」の著者・さくらももこさんもきっとビックリでしょう (^^ゞ
ネクターの商標
森永製菓の天然果汁クラッシュジュースは、ネクターの直接の先祖と言える商品。ペースト状の果肉の入った缶詰で、これを改良したのがネクターなのだそうです。
そのためか、「ネクター」という商標の権利を持っていたのも森永です。しかし、森永製菓は業界発展のためにこの商標の運営を社団法人日本果汁協会に一任。
これにより、一定の基準を満たしていればどのメーカーでも「ネクター」を販売できるようになりました。これってちょっとすごくないですか?!
権利にうるさい現代では「甘~い!」なんて言われるかもですが(‥‥ネクターだけに)、当時は高度経済成長期のまっただ中。体位向上のためにというか、栄養豊富で健康的な美味しい飲み物を独占せずに日本国民のために広く普及させようということだったのかも。
そう考えると、なんか感動的ですらあります。あと、複数のメーカーが同じ商標の商品を販売できるというのは「シャンメリー」にも似てますね。
ネクターの条件
「ネクター」を名乗るには、「細かくすり潰したピューレ状の果肉を一定量以上含むこと」が条件になります。この量は材料となる果物により違いがあって、Wikipediaによりますと、
材料 | 量 |
---|---|
オレンジ(ミカン、ナツミカン)、和ナシ | 50%以上 |
イチゴ、カキ、アンズ、パパイア、 マンゴー、キウイフルーツ、西洋ナシ |
40%以上 |
モモ、リンゴ | 30%以上 |
バナナ、ウメ、グアバ | 20%以上 |
だそうです。
ネクターといえば桃ですが、ネクターという単語を「桃の果肉入りジュース」の意味で使うのは間違い。桃じゃなくても一定量の果肉を含んでいればネクターなので、桃の果肉入りジュースの意味で使うなら「ピーチネクター」と呼ぶのが正しいのですね。
そういえば、昔はオレンジ味も定番でしたね。フルーツミックス的なネクターも見たことあります。
ちなみに、コトバンクのネクターのページによると海外にも「Nectar」というソフトドリンクが存在し、規格も決められているのだそうです。発祥はどこの国なんでしょうね?
ネクターの会社
最近は見かけることが少なくなったネクターですが、過去にはたくさんの会社が販売していました。
森永、UCC、ダイドードリンコ、ヤクルト、キッコーマン、味の素、ポッカ、サントリー、サンガリア、明治乳業、宝酒造、全国農協直販、などなど‥‥。
宝酒造やサッポロビールはネクターを使った缶チューハイも発売しています(‥‥いました、かな?)。お酒のネクター、ネクターサワー。ウエルカムです!
現在、最も入手しやすいのは不二家のネクターと思われます。
元祖である森永製菓は、商品ネーミングの普通名称化さまによると2003年にネクターの製造を終了したのだそうです。
森永のネクターって、ギザギザの250cc缶で、プルトップじゃなくて穴あけ器方式でしたよね。なつかしい。各社のピーチネクターの缶はこちらのサイト様で見ることができます。
ピーチネクター – The Archive of Softdrinks
よかったらチェキナ!
というわけで、唐突に始まった「好きな食べものや飲み物のことを調べてみるシリーズ」、いかがでしたでしょうか。今後もちょいちょい入れて行こうと思ってます。
ごちそうさまでした。。。。。